鬼部長の優しい手




完全に理性を無くした俺は、
ここが道の真ん中だとか、
今、夜の何時だとか、
行き交う人が俺達のこと見てるとか、

そんなの気にならないくらいになってた。



気づけば、
自分でもびっくりするぐらい、
声あらげてたし、



…黛実ちゃんに、こんなこと言うの
初めてかもね。


俺だってさ、もういい歳した大人だけど、出来るだけ気にとめてもらいたくて、
必死だったってのに。



…なんで、伝わんないんだよ。


「…こんなに、好きなのに…っ」



…ねぇ、黛実ちゃん、
どうしたら俺に惚れてくれる?








「…“それ以外になにがあるんだよ”って
なによ。」


「え?」


またも、予想してない黛実ちゃんの言葉

泣きそうな声をしていた黛実ちゃんは
今度はイライラした様子で、
そう言った。



「…“好きに決まってんだろ”って、
なによ!」

「え、いや、だから…っ」



…なんで、こんなことになってんだよ。
俺はただ…




「大体ね、そんな回りくどい口説きかたで、わかるわけないでしょ!!

会うたびにうっとうしいくらい、
話しかけてきて、
誰だってそんなことされたら、
私のこと好きなのかもとか考えるわよ…」


「でも、いっつもあんたは
そうやってへらへら笑ってて…
必死で悩んでる自分がバカに思えてくる…」