鬼部長の優しい手








少しずつ、ゆっくり、
部長こと、もっと知れたら良いな、と
思ってたのに、







「七瀬…?どうしたんだ?
そんなに顔を赤くして。



林檎みたいだ。可愛い…」



「部長…っ!しっかりしてください!」



「んー…?

俺はしっかりしてるよ?



心配してくれてありがとう。七瀬…」






赤くなった顔、
ほんのりする、アルコールの香り。





いつもからは考えられないくらい
とびきり甘い声で…

酔っぱらった部長は
私の耳元でそう囁いた。








「ちょっ、部長…っ!」





また、部長の知らない顔を知った






部長は酔うと、甘え上戸になるらしい





これは、知らない方がよかった!!




私はお店の人に迷惑をかけまいと、
お金を机の上におき、
自分よりはるかに重い、190近くもある
部長を引きずって店を出た。










「部長!部長!
しっかりしてください!部長!」


「ん~…
七瀬…?七瀬、

もっと、ぎゅって…」


「ちょっ、ちょっと、部長!」






これは、ほんとにやばい!!

こんな人通りの多いとこで!






部長は、私の背中に腕を回し、
なんの躊躇もなく
私に、ぎゅっと抱きついてきた。