鬼部長の優しい手



「…七瀬、こっちにおいで?」

「…はい?」



部長の突然の誘いに間抜けな声を出す私。


さっきまで、泣きそうな顔をしていた
部長は一転、
とびきり甘い声でそう言って、
自分の隣にある座布団をぽんぽんと、叩く。



こっちにおいで!?

う、嘘でしょ!?
隣に来いって?そのぽんぽん叩いてる
所に座れって?





…冗談じゃない、



私に対して、“特別な感情”が無いなら、





やめてよ、そんなことして、
その気にさせないで





「…いえ、ここで大丈夫です」


私は少し泣きそうになりながらも、
部長にそう言った



「俺が大丈夫じゃない。


…お前の隣に居る男は、俺でありたい。この先ずっと。」






…思わずそらしてしまいそうになるほどの、熱っぽい視線。
嘘も誤魔化しも感じない、
力強い声。
真剣な切れ長の瞳。
目にかかる前髪。



息づくようにそっと私の頬に触れた優しい手。




全神経で部長を感じて、
隣にいたいなんて言われたら、


そんなの、


これ以上、私を部長でいっぱいにして、
どうするつもりですか…