「…本当、最低だよな」
「え…」
部長の顔を見れずに、
ずっと俯いていると、
前の部長が、ぼそっとそう言った
「最低って…」
「俺は、またお前を泣かせた」
部長の消え入りそうなその声に、
私は思わずバッと顔をあげた。
最低なんて、
そんな…
私が勝手に落ち込んでるだけなのに
「部長は…最低なんかじゃ、
ありません…」
「いや、最低だ。
…最近やっと七瀬に近付けたと思ったのに」
「え…」
部長の予想外の言葉に
驚きを隠せない私。
…“近付けたと思ったのに”
昨日からずっと考えてたこと。
部長も、同じこと思ってたんだ
…どうしよう、どうしよう…
そんなこと言われたら、
そんな悲しそうな顔で言われたら、
…嬉しい
部長と同じだって考えただけで、
嬉しくて頬が緩む…
私は緩む頬を抑え、
この嬉しい感情を悟られないように、
また俯いた。
「七瀬、また泣いてるのか?」
悲しそうな顔をして、そう聞いてくる部長
「大丈夫です、大丈夫ですから…」
「なら、どうして下を向くんだ…」
部長はぼそっとそう呟いて、
テーブルに身を乗り出し、
大きな手で私の頬に触れたかと思うと、
両手で私の頬を包み、自分の方に、
私の顔を向けた。


