鬼部長の優しい手





「凉穂、あんたなに頼む?」


そわそわと落ち着きのない私に、
黛実は冷静にそう聞いてきた。




「えーっと…」



どうしようかな…

とりあえず、今日は生頼もう!
飲んで忘れなきゃ。



「私は、生ビールと…」


「え!?凉穂がビール頼むなんて
珍しい。」



「うーん、たまにはね…」



私が生を頼もうと言ったのがよほど
珍しかったのか、
黛実は驚きを隠せない様子で
言ってきた。


その言葉に、“たまにはね。”なんて、あいまいにしか返せない私。

本当は飲んで酔っぱらって、
部長のこと、忘れるためなんて、
そんなこと知ったらきっと黛実は
呆れて笑うんだろうな…










…黛実にも部長のこと切り出せないなんて、私のなかで部長って、いつのまにか


そんな高い位置にいたんだな…