鬼部長の優しい手




イライラした思いを払拭しようと
出てきた豚玉にがっつく。





「良い食べっぷりだな。

誘ったかいがある」



「あ、すみません…」




部長に言われて急に恥ずかしくなった私は、慌ててお箸をおいた。



は、恥ずかしい…
よく食べるやつだって思われたかな?
思われたよね!?







今までの食べっぷりを思い出して、
急に顔に熱が集中する。






「あ、いや……そんな
謝らなくても。

誘ったかいがあって、こっちは
嬉しい」




「あ…っ」





そう言って部長は、また
ふわっと笑顔を見せた。





部長、こんなに笑うんだ。

こんなに優しそうな声色で、





知らなかった。
いつも怒った顔しか見たことなかったから。

今日でどれくらい、部長の“初めての表情”を見ただろう。




もっと、知れたら良いな…