「…で?凉穂さん、

この状況は何?
どうして私よりも少ない量の書類が
まだ、片付いてないのかしら?

え?」



「えっと…、そのー…」





鬼のような形相で、
私を見下ろし、冷たくそう言う黛実。

怒った黛実は部長と同じくらいの
威圧感を放つから、いつも焦って言葉も
出なくなる私。







今も私の右側に置かれたままの
数枚の書類。


こんなのすぐに終わるだろうと
調子にのって休憩とかしてた数分前の
自分をぶん殴ってやりたい。







「言い分けでも、なんでも、
この後じっくり聞いてあげるから、
即効で終わらせて!」


「はい!」




作業が遅い私に痺れを切らした黛実が
怒りを爆発させた。




み、見られてると、
打ちにくいんですけど、
黛実さん…




黛実に監視されながら、キーボードを
叩く。
パソコン画面の時計によると時刻は、
午後7時過ぎ。







…部長も今日は、残ってないな…


結局、今日一日
部長と話せなかった。






部長が何回か、話しかけようとしてくれてたのは知ってた。



あの低い声で、七瀬と呼んでるのも
知ってた。

でも、私は怖くなって、
ずっと気づかないふりをし続けた。






今更、どうやって
接すればいいの?