鬼部長の優しい手



どうして、そんな申し訳なさそうな
顔するんだろう?


「ぶ、部長…?どうかしたんですか?」


「…俺はお前の泣きそうな顔しか見たことない。

まぁ、理由はあらかた
わかってるんだが…」


「えっ…」



部長の思いがけない言葉に
私は思いきり目を見開き、驚く。




部長、どうしていきなりそんなことを…


「お待たせしました。お冷やとおしぼりです。

ご注文をお聞きしても
よろしいでしょうか?」


「あぁ…、悪い。

俺は焼きそばと、あと生で。




七瀬は何頼む?」





「あ…っ、じゃあ私は豚玉で…」





店員さん、タイミング悪すぎる…

なにも部長がなにか言いかけた辺りで
注文とりに来なくても…っ!










イライラしている私をよそに
店員さんはニコニコした薄っぺらい
営業スマイルで「かしこまりましたー。
生、豚玉、焼きそば一丁~!」…なんて
大声で叫ぶ。






当の部長はと言うと、またいつもの
仏頂面に戻っている









あぁ、もう。変なタイミングで話
切られたからすごく気になっちゃうじゃん!


なんか、部長はいつもみたいに
しれっとしてるし!