その質問の意図に心当たりがあった。地方雑誌の広告や道路の看板で見かける、この病院のキャッチフレーズだ。
『あなたの大切な人の笑顔を守りたい』
患者本人ではなく、家族の方に向けられているだろう宣伝文句に、違和感を抱いた記憶がある。
向山師長は困ったように苦笑すると、
「ここ(藤ヶ崎病院)は延命治療に力を入れていますからね。それでどこの病棟も終末期の患者が多いんです。正直、本当に大切な人の笑顔を守りたいなら、ホスピスを選ぶべきだと思うんですけど」
これはオフレコでお願いしますね、と、そう続けて彼女は苦笑した。
「もちろん、聞かなかったことにします。でもその本音――
――聞けて良かった。あっ、これもオフレコで」
那智はそう返して、ニッと悪戯っぽく微笑んだ。
『あなたの大切な人の笑顔を守りたい』
患者本人ではなく、家族の方に向けられているだろう宣伝文句に、違和感を抱いた記憶がある。
向山師長は困ったように苦笑すると、
「ここ(藤ヶ崎病院)は延命治療に力を入れていますからね。それでどこの病棟も終末期の患者が多いんです。正直、本当に大切な人の笑顔を守りたいなら、ホスピスを選ぶべきだと思うんですけど」
これはオフレコでお願いしますね、と、そう続けて彼女は苦笑した。
「もちろん、聞かなかったことにします。でもその本音――
――聞けて良かった。あっ、これもオフレコで」
那智はそう返して、ニッと悪戯っぽく微笑んだ。



