「持ち出したのは辻岡なんですか?」
「証拠はありません。でも、患者の症状は重度の高カリウム血症だと思われます。肝機能障害で、血中のカリウムが上昇することは、もちろん有り得ます。でも時期的に、疑われても仕方がないかと……」
「裁判沙汰になったんですか?」
「いいえ。そうなる前に辻岡先生は自ら退職されました。病院側は好都合でした。全てを彼のせいにして、遺族に多額の示談金を支払い、事件を揉み消したんです」
「示談金というより、口止め料だな」
那智が呆れたような口調で呟いた。
この件については、もう少し詳しく調べる必要がありそうだ。そう確信しつつ、俺たちは席を立つ。
それを見て、向山師長も慌てて立ち上がった。
休憩室のスライドドアを開け、部屋の外へ一歩踏み出した那智が、不意に振り返って俺の背後に立つ向山師長を見た。
「患者の笑顔、守れてますか?」
そう尋ねて、悪戯っぽく微笑む。
「証拠はありません。でも、患者の症状は重度の高カリウム血症だと思われます。肝機能障害で、血中のカリウムが上昇することは、もちろん有り得ます。でも時期的に、疑われても仕方がないかと……」
「裁判沙汰になったんですか?」
「いいえ。そうなる前に辻岡先生は自ら退職されました。病院側は好都合でした。全てを彼のせいにして、遺族に多額の示談金を支払い、事件を揉み消したんです」
「示談金というより、口止め料だな」
那智が呆れたような口調で呟いた。
この件については、もう少し詳しく調べる必要がありそうだ。そう確信しつつ、俺たちは席を立つ。
それを見て、向山師長も慌てて立ち上がった。
休憩室のスライドドアを開け、部屋の外へ一歩踏み出した那智が、不意に振り返って俺の背後に立つ向山師長を見た。
「患者の笑顔、守れてますか?」
そう尋ねて、悪戯っぽく微笑む。



