ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

初音が那智から俺の方へと視線をずらしたので、彼女と目が合った。

「お気持ち、お察しします」

咄嗟に口から出たのは、そんな在り来たりな言葉だった。


初音はふいと視線を逸らすと、

「あなたなんかにわかるはずない。わかってたまるもんですか」

微かに震えた小さな声で呟き、悔しそうに下唇を噛み締めた。


演技? 瞳に滲んだ涙を必死に堪えるその横顔は、とても演技には見えない。

けど……。

俺が痴漢呼ばわりされた時、悦子は既に死んでいて、俺を犯人に仕立て上げるために、初音が悦子に扮して俺をハメたって考えるのが一番妥当だと思うんだよな。

だったら、悦子を殺ったのは、やっぱり初音? それとも、何か他に理由がある?


取り敢えず、悦子殺害は他の誰かで、初音は何らかの目的で遺体を移動させ、俺に殺害容疑がかかるよう仕組んだと仮定する。