ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

今日は体調不良のため欠勤とのこと。

よくあることなのかと尋ねれば、対応した受付の若い女は、「珍しいです」と迷わず答えた。

警察手帳を提示し初音の住所を訊き出した。


体調不良で仕事休んでるなら、自宅に居るはずだよな? と言っても――

『急な欠勤は珍しい』って……益々、怪しい。



辿り着いたのは小奇麗なアパート。一見して学生や独身者が住んでいるワンルームマンションだとわかる。

エントランスはオートロックになっていて、鍵を持っていないと勝手に入ることはできない。

共通の呼び出しパネルの前に立ち、隣の那智を窺い見る。那智はちらと一瞬だけ俺を見やるも、すぐに視線をパネルへ戻し、なんの躊躇いもなく初音の部屋番号を押した。


『はい』

すぐに、掠れた覇気のない女の声が応対する。


「警視庁捜査一課の芹沢です。二、三、お訊きしたいことがありまして……ご協力願えませんか?」

那智はカメラに向かって手帳をかざし、落ち着いた口調で言った。


『刑事さんなら、昼間も見えましたけど?』

女の声に猜疑心が滲む。