ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「まぁそう気を落とすなって」

ぽん、と那智の左肩にのせた俺の手は、

「落としてねぇわ」

那智の右手によってさり気なく払われた。


「お前なら他にいくらでもいるだろ?」

だってその顔だもんな。いかにも、ミーハー女どもが黄色い声でキーキー騒ぎそうな顔だ。

だが那智は、意味が解らないとでもいうように、真っ直ぐ前を向いたまま頭だけを微かに傾けた。


「とぼけんなよ。お前、モテるだろ?」

「モテねぇよ」

「謙遜とか……らしくねぇ」

「謙遜でもなんでもねぇよ。モテねぇからモテねぇっつってんだよ」

「まじで? その顔なのにどうして……あっ! その金髪が駄目なんじゃね?」

「ほっとけよ」

ぎろり、助手席の俺を睨みつけた那智は、子どもみたいにふて腐れた顔。

やっぱガキだな、こいつ。いくつだっけ? 確か、22、3だったはず。


すぐに俺から視線を逸らして前方へ向き直った那智は、既にいつもの冷めた無表情に戻っていた。