玄関へ続く狭い廊下の途中にあるレンジ台で、ヤカンがピーピーとやかましく鳴き、その口から湯気を勢いよく吐き出していた。
立ち止まって火を消した那智は、俺の方を振り返るようにして見やると、
「あんたが来るって言うから、湯、沸かしたんだった。なんか飲む?」
言って、照れ笑いなのかよくわからない不気味な微笑を浮かべた。
俺をもてなそうという気持ちはあったらしい。びっくりだ。
「いや、気分はもうお出かけモードだから、遠慮しとく」
丁重にお断りすれば、「だな。じゃあまた今度」と、気分を害する様子もなく再び玄関へと足を進めた。
「ん、また今度」
心にもない言葉を返しつつ、俺も那智の後に続いた。
那智の愛車だと思われる、真っ赤なハッチバックに乗せてもらって目的地へ向かう。随分年季の入った車だ。ちゃんと走るか心配したぐらい。
ぼんやりと視線は前方へ。暗闇の中、ヘッドライトに照らしだされた部分だけが浮き上がって見えた。
とくに何の変哲もない住宅街の道路。交通量は、数分置きぐらいに対向車とすれ違う程度だった。
立ち止まって火を消した那智は、俺の方を振り返るようにして見やると、
「あんたが来るって言うから、湯、沸かしたんだった。なんか飲む?」
言って、照れ笑いなのかよくわからない不気味な微笑を浮かべた。
俺をもてなそうという気持ちはあったらしい。びっくりだ。
「いや、気分はもうお出かけモードだから、遠慮しとく」
丁重にお断りすれば、「だな。じゃあまた今度」と、気分を害する様子もなく再び玄関へと足を進めた。
「ん、また今度」
心にもない言葉を返しつつ、俺も那智の後に続いた。
那智の愛車だと思われる、真っ赤なハッチバックに乗せてもらって目的地へ向かう。随分年季の入った車だ。ちゃんと走るか心配したぐらい。
ぼんやりと視線は前方へ。暗闇の中、ヘッドライトに照らしだされた部分だけが浮き上がって見えた。
とくに何の変哲もない住宅街の道路。交通量は、数分置きぐらいに対向車とすれ違う程度だった。



