ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

まるで人形のように無表情だった顔を露骨に顰めて、イヤホンを両耳から抜き取りながら、傍らに立つ俺を見上げた那智。

イヤホンの前にやるべきことがあるだろ? まず画面を消せ、画面を!

……と思う。


「お楽しみのところ悪いんだけど、」

嫌味をたっぷりこめた挨拶を口にすれば、

「そう思うんなら帰れよ」

那智は感情皆無の冷淡な声でボソリと返し、再び視線をモニター上の『裸体のぶつかり合い』へと戻す。


コイツと巧くやれる自信が全くない。


「そうする」

相手の提案を受け入れることにし、踵を返して出口へ向かう。一応、背後の気配に神経を注ぐが、引き留める様子はなかった。


玄関で靴を履き、ドアノブを掴んだ時、

「頼まれたんだ、窪田さんに」

不意に声を掛けられた。


ゆるゆると振り返れば、椅子を回転させて身体ごとこちらを向いた那智が、バツが悪そうな困り顔で俺を見ていた。