運転席を振り返れば、谷口さんは黙ったまま顎を軽く突き出して、さっさと車を降りるよう促す。
渋々助手席側の扉を開けて、歩道へと降り立った。
胡散臭い建物を見上げるようにして一瞥し、すぐにまた振り返ったけど、既に漆黒の4WDはタイヤを軋ませ発進していた。
小さくなりながら夕刻の薄闇に溶けて行くそれ。ブレーキランプの赤がチカーッと光を放ったと思ったら、ウィンカーも出さずにその先の四つ角を左折して消えた。
名前も知らない土地に置き去りにされ、その不安からか、俺に選択肢など与えられていない気がした。
錆びた鉄階段を上り202号室の前に立った。
ふう、と肺の中の空気を吐き出し一呼吸おく。そうしてからインターホンを鳴らそうとドア横に視線を移したけど、それらしいものが見当たらない。
何なの、ここ?
ノックしてみた。拳を軽く二回打ち付けただけだけど、安っぽい鉄扉は予想外に大きく振動し、酷く不快な音を鳴らした。
すぐに元通りの静寂に包まれる。
渋々助手席側の扉を開けて、歩道へと降り立った。
胡散臭い建物を見上げるようにして一瞥し、すぐにまた振り返ったけど、既に漆黒の4WDはタイヤを軋ませ発進していた。
小さくなりながら夕刻の薄闇に溶けて行くそれ。ブレーキランプの赤がチカーッと光を放ったと思ったら、ウィンカーも出さずにその先の四つ角を左折して消えた。
名前も知らない土地に置き去りにされ、その不安からか、俺に選択肢など与えられていない気がした。
錆びた鉄階段を上り202号室の前に立った。
ふう、と肺の中の空気を吐き出し一呼吸おく。そうしてからインターホンを鳴らそうとドア横に視線を移したけど、それらしいものが見当たらない。
何なの、ここ?
ノックしてみた。拳を軽く二回打ち付けただけだけど、安っぽい鉄扉は予想外に大きく振動し、酷く不快な音を鳴らした。
すぐに元通りの静寂に包まれる。



