ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「仕事振りはクールでスマート、頼れるぞ。誰かさんみたいに、捜査に私情を挟まねぇしな」

兄貴への皮肉を交えて、未知なる助っ人の株を上げようとしてんのかもしんねぇけど、厄介者には違いないんだ、絶対に。



いつの間に都心を抜けたのか、気付けば車は閑静な街並みを走行していた。

そして、片側一車線の道路、谷口さんは愛車を歩道に寄せて静かに停車させる。


「202号室だ」

ハンドルの上に右前腕を乗っけて、身体ごと俺の方を向いた谷口さんが、部屋番号だけを告げた。

自分は車を降りるつもりはないらしい。その眼差しが『さっさと行け』と、俺に無言の圧力をかけてくる。


助手席の窓から外の様子を窺った。

人影なんかどこにも見当たらない。それどころか、人の気配すらない。


歩道沿いに駐車スペースがあり、その向こうに厄介者が住んでいるらしい建物があった。二階建てで、鉄階段も手摺もサビサビ、外壁の塗装はところどころ剥げ落ちていた。

いかにも、ヤバい奴しか住んでなさそうなボロアパートだ。