ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

だがしかし、

「言っただろ? 俺は俺で、今追ってる案件があるんだよ。手伝えるわけねぇだろ。人の話はちゃんと聞け」

平然と返してきた鬼畜谷口。


どういうこと? 

『可愛い子には旅をさせよ』ってこと? 俺が可愛いから?


「そんな殺生な……。俺一人じゃ無理だって。じゃあ、兄貴は? 兄貴が手伝ってくれんだろ?」

「龍は育休中だ。産まれたの、半年も前だぞ。お前、知らなかったのか?」

「知ってるよ。俺、弟だからね? 知らないわけねぇだろ」


『産まれた』ってことはもちろん知ってる。でも育休中だなんて初耳だ。

谷口さんは、兄貴が育児休暇中だという事実に何の疑いも抱いてないみたいだけど、父親が育休とるなんて話、リアルで聞いたことねぇし。それって、普通じゃねぇから。


「だったら、チワワくんでもいいし。もうそろそろ、怪我も完治してる頃だろ?」

「とっくに完治してっけどな、今あいつはタヒチだ」

「なんでタヒチなんか……」

「日置と旅行中だよ」

「はぁ?」

なんてお気楽なヤツ。とうとう日置、大人の階段を上ったのか……って、今はそんなのどうでもいいし。