ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「けど俺は、」

「やってない、だろ? お前が殺しなんかできるタマじゃねぇってことぐらい、重々承知なんだよ」

「だとしたら、女はわざわざ俺に罪を着せる準備をしてから、殺されたってこと?」

「だからそれを、お前自身で調べろっつってんだよ」

「なんで俺が捜査なんか! 俺、相談センターの職員ですけど?」

躍起になって言い返せば、谷口さんは心底呆れたように深々と溜息を吐いた。


「お前まさか……あれが正規の異動だとでも思ってんのか?」

「正規の異動じゃなきゃ、何なんだよ?」

すかさず訊き返せば、今度は憐れむような眼差しを俺に向ける谷口さん。


ちょっと待て。まさか……。


嫌だ、絶対に嫌だ。戻りたくねぇよ。

勤務時間がきっちり決まっていて、定時に帰れる今の部署、かなり気に入ってんのに。

物騒ごとなんて、第三者として話を聞くだけで充分だって。所詮、他人事(ひとごと)だから蜜の味なんだって。その渦中の人に自分がなるなんて、もう二度と御免なんだって。