――――――結局、俺たちは今、高級レストランを取り囲む湖のほとりに居る。木陰に隠れて店につながる一本道を眺め、侵入する機会をうかがっていた。
那智が「じゃあ俺一人で行く」なんて言うもんだから、それはあまりにも危険過ぎるってことで、仕方なくついてきた。だって、もし那智くんに何かあったら、俺一生後悔しそうだし。
まあ俺なんか、何かあった時には、なんの役にも立たないんだけど。そんな当たり前のことに、ここまでのこのこやって来てから気づいてしまった。
店の場所は地図アプリの航空写真で見つけた。池の中にあるレストランなんか、そうそうあるもんじゃない。
入店チェック係なのか、パツパツのスーツを着たイカつい大男が二人、出入り口に立っていて、入店する客一人一人に隈なく挨拶している。
「那智くん、どうやって入るよ?」
「正面から堂々とってわけにはいかないよね」
「裏に周るにも、あの双子ジャイアンのとこを通らなきゃなんねーじゃん」
「確かに。上手い造りになってんな。あっ」
視力が野獣の那智が何かに気づいた。「なに? どした?」と問えば、
「あれ、龍一くんじゃない?」
と、腕を突き出すと目立ってしまうからか、顔の目の前で店を指さしながら那智が言う。
目を凝らして見てみると、那智さまのおっしゃるとおり、双子ジャイアンの方へ歩いて行く男の後ろ姿が『龍一くん』であった。
あのすらっと縦長なのに筋肉質、完璧な八頭身、薄茶のふわふわした気持ち長めの髪、外出時はいつも着ているダークスーツ、見紛うことなく兄貴だ。
そして、ゴージャスな40代ぐらいの女性をエスコートしていた。細身だが決して貧弱ではない整った身体に、黒のラメラメドレスを着ている。シックだが背中を思う存分露出させたデザインで、スカート丈は地面に擦りそうなのに、パンツが見えそうなところまでスリットが入っている。
「あのおばさん、どっかで見たことある」
と那智が言う。あのフェロモンだだ漏れ熟女も、那智にかかれば『おばさん』の一言で片付いてしまうのか。お子ちゃまだなあ、那智くん。
「どこで?」
俺も那智も、目線は兄貴たちにロックオンしたまま話していた。兄貴たち、どうやら双子ジャイアンに止められている様子。
「どこだっけ……あっ」
「思い出した?」
「そんなことより、今が侵入のチャンスじゃん、行こう」
言い終わる前に那智は潜んでいた木陰から飛び出した。
「ちょっ、おいっ!」
まじかよ、見切り発車もいいところだ。だけど那智だけを行かせるわけにもいかず、仕方なく那智に続く俺。
那智が「じゃあ俺一人で行く」なんて言うもんだから、それはあまりにも危険過ぎるってことで、仕方なくついてきた。だって、もし那智くんに何かあったら、俺一生後悔しそうだし。
まあ俺なんか、何かあった時には、なんの役にも立たないんだけど。そんな当たり前のことに、ここまでのこのこやって来てから気づいてしまった。
店の場所は地図アプリの航空写真で見つけた。池の中にあるレストランなんか、そうそうあるもんじゃない。
入店チェック係なのか、パツパツのスーツを着たイカつい大男が二人、出入り口に立っていて、入店する客一人一人に隈なく挨拶している。
「那智くん、どうやって入るよ?」
「正面から堂々とってわけにはいかないよね」
「裏に周るにも、あの双子ジャイアンのとこを通らなきゃなんねーじゃん」
「確かに。上手い造りになってんな。あっ」
視力が野獣の那智が何かに気づいた。「なに? どした?」と問えば、
「あれ、龍一くんじゃない?」
と、腕を突き出すと目立ってしまうからか、顔の目の前で店を指さしながら那智が言う。
目を凝らして見てみると、那智さまのおっしゃるとおり、双子ジャイアンの方へ歩いて行く男の後ろ姿が『龍一くん』であった。
あのすらっと縦長なのに筋肉質、完璧な八頭身、薄茶のふわふわした気持ち長めの髪、外出時はいつも着ているダークスーツ、見紛うことなく兄貴だ。
そして、ゴージャスな40代ぐらいの女性をエスコートしていた。細身だが決して貧弱ではない整った身体に、黒のラメラメドレスを着ている。シックだが背中を思う存分露出させたデザインで、スカート丈は地面に擦りそうなのに、パンツが見えそうなところまでスリットが入っている。
「あのおばさん、どっかで見たことある」
と那智が言う。あのフェロモンだだ漏れ熟女も、那智にかかれば『おばさん』の一言で片付いてしまうのか。お子ちゃまだなあ、那智くん。
「どこで?」
俺も那智も、目線は兄貴たちにロックオンしたまま話していた。兄貴たち、どうやら双子ジャイアンに止められている様子。
「どこだっけ……あっ」
「思い出した?」
「そんなことより、今が侵入のチャンスじゃん、行こう」
言い終わる前に那智は潜んでいた木陰から飛び出した。
「ちょっ、おいっ!」
まじかよ、見切り発車もいいところだ。だけど那智だけを行かせるわけにもいかず、仕方なく那智に続く俺。



