ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

俺の方が妙な喪失感を覚え呆然としていると、

「なんかこの辺が、すーすーするな」

高広は右手で顎先を撫でながら、稚拙な表現で感想を述べ、へらりと笑った。


「辻岡と連絡ついた?」

当然の疑問を投げただけなのに、高広はそれを鼻で笑うと、

「つくわけねぇだろ」

いともあっさり否定した。


「こっちからは連絡しねぇって約束だ」

そう言い足して、どこか自嘲気味に微笑む高広に、

「一方的に利用されてるだけか。切ないねー」

つい、毒を含んだ言葉が口を衝いて出てしまう。


だけどヒゲは、

「俺、損得勘定が苦手でね」

なんて言って、清々しい笑顔を見せたりするもんだから、自分がちっちゃくて酷く汚いものに思えた。実際そうなんだけど。


「さて、どっちにすっかなぁ……」

高広は俺と那智を交互に眺めながら、うーんと小さく唸る。やがて、視線を那智にロックオンさせると、

「決めた、お前」

言って、不敵な笑みを一瞬だけ浮かべると、上着の裏ポケットに右手を突っ込んだ。

咄嗟に身構える那智。よくわからないけど、何となくホッとする俺。


そして、高広が上着の内側から取り出したのは……バタフライナイフ?