ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「不十分には違いないが、不可能でもねぇな。ま、死んじゃっても文句言うヤツなんかいねぇ輩ばっかだし、問題はなかったね」

「それはどういう……」

そこまで言って那智は、何かを考えているように口を噤む。


やがて、

「彼は今、どこで何をしてるんですか?」

真剣な眼差しをヒゲに向けて尋ねた。


「濁瀬川で医者やってるよ」

ヒゲは何でもないことのように、さらっと即答。俺と那智は揃って目を見開いた。


「闇医者?」

俺が思わず口にした言葉に、何故だかヒゲが過剰に反応した。

「闇医者の定義って何だ? 生憎だがな、あいつの医師免許は生きてるよ。それともあれか? 保健がきかない医療を扱うのが闇医者か? ならアイツも闇医者なんだろうよ」

口元は笑んでいるが、その眼光は鋭く威圧的だった。


「普通の病院に行けないような犯罪者の治療をしてんだろ?」

「犯罪者だろうが何だろうが、そんなもん関係ねぇ。そこに救える命があるから救うだけだ。山登りと一緒だよ」

ヒゲはふっと表情を緩め、どこか疲れた微笑を浮かべた。