ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「悪い、つい……」

那智は照れ臭そうに苦笑を漏らして、体勢を元の直立に戻した。


「回りくどいのはナシだ。聞きたいことがあんなら、ズバッと聞けよ。俺、忙しいんだよね」

「ぜんっぜん忙しそうに見えねんだけど、俺の目がおかしいのか?」

「見たいものしか見えない、ご都合主義千里眼じゃねぇの?」

「だとしたら、刑事としては致命的だよな?」

「まぁそうかもね。精々気をつけろよ?」

ヒゲはそう返すと、クイッと口角を上げ目を細めた。その笑みはどこか挑発的に映る。


俺とヒゲの実もない遣り取りに、痺れを切らした那智が口を挟んだ。

「お望み通りズバッと聞きます。辻岡が行方をくらませた半年前から、あなたに頻繁に電話をかけています。用件は何だったんですか?」

「そういや、最近は電話ねぇなぁ……」

「訊かれたことにだけ答えろ」

白々しくとぼけるヒゲに、思わず語調が荒くなる。


「そう焦るなよ。結論を急ぐと、肝心なとこ見落とすぞ?」

「お前に捜査の何がわかるってんだよ?」