「腹減らね?」
那智が生理的欲求を訴えたため、那智の家で遅めの昼食をとってから出掛けることにした。
昼食といってもカップラーメンだったけど。食わせて貰った分際では文句も言えない。
梅雨入りしたはずが、梅雨に入ってからの方が晴天が多い気がする。とは言え、空は所々灰色の雲に覆われ、いまいちスッキリしない天気だった。
目的地に着いたのは、ランドセルを背負った小学生をちらほら見掛ける時間。1時間以上は掛かったと思う。
怠惰な俺は電話で済ませようと提案したけど、表情が見えないんじゃ意味がないと、那智がそれを断固拒否。
あのコミュ障の兄貴の友人ってことで、一目会ってみたいという好奇心も、那智の中に少なからずあったはず。
「どうした? クソガキ」
縁側の端に腰掛け、何をするでもなくそこに居るだけの存在が、俺を認識して口を開く。
俺たちは玄関を素通りし、庭を通って直接ここに来た。家の中には多分、コイツの家族が居る。彼らと顔を合わせたくなかった。彼らに心配を掛けたくないと思った。
それぐらい、今のヒゲ(高広)は事件の重要な手掛かりだ。



