「藤ヶ崎病院を辞める半年前までは、圧倒的に悦子が多いな」
「やっぱ悦子と辻岡は、ただの同僚じゃなかったわけだ」
予想を裏切らない事実に安堵したのも一瞬のことで。
「何だよ、これ?」
病院を辞めた辺りから、着信元の方はてんでバラバラ。だが発信先にずらりと並ぶ同じ電話番号と名前に、思わず自分の顔をモニターに寄せてそれを凝視した。
「あきば……たかひろ……」
秋場高広、兄貴の数少ない友人の一人。同姓同名の別人かとも思ったけど。
俺の異変に気付いた那智が、「知ってるやつか?」と訊いてきた。隠し切れない動揺に強張る顔を、ゆるゆると声のした方に向ければ、至近距離で目が合った。
きょとんとした不思議そうな顔で、俺の返事を待っている。
「ああ……東大出身。ヒゲ(高広)の後輩か……」
思い当たる関係性を、頭に浮かんだままの言葉で一方的に口にして答えに代えた。
「話聞けそうか?」
詳細を問うこともせず、至って冷静なまま間接的に促され、
「ああ、多分」
曖昧に肯定し、またちょっと距離があるけどな、と言い足せば、
「今日はドライブデイだな」
那智は俺の不安を知ってか知らずか、冗談めかして言い、屈託なく笑って見せた。
「やっぱ悦子と辻岡は、ただの同僚じゃなかったわけだ」
予想を裏切らない事実に安堵したのも一瞬のことで。
「何だよ、これ?」
病院を辞めた辺りから、着信元の方はてんでバラバラ。だが発信先にずらりと並ぶ同じ電話番号と名前に、思わず自分の顔をモニターに寄せてそれを凝視した。
「あきば……たかひろ……」
秋場高広、兄貴の数少ない友人の一人。同姓同名の別人かとも思ったけど。
俺の異変に気付いた那智が、「知ってるやつか?」と訊いてきた。隠し切れない動揺に強張る顔を、ゆるゆると声のした方に向ければ、至近距離で目が合った。
きょとんとした不思議そうな顔で、俺の返事を待っている。
「ああ……東大出身。ヒゲ(高広)の後輩か……」
思い当たる関係性を、頭に浮かんだままの言葉で一方的に口にして答えに代えた。
「話聞けそうか?」
詳細を問うこともせず、至って冷静なまま間接的に促され、
「ああ、多分」
曖昧に肯定し、またちょっと距離があるけどな、と言い足せば、
「今日はドライブデイだな」
那智は俺の不安を知ってか知らずか、冗談めかして言い、屈託なく笑って見せた。



