そいつは昨日の列車爆破現場で、俺に声を掛けて来た男だ。間違いない。
確かに胸ポケットの中に仕舞ったはずの身分証、それをヤツが持っていた。辻岡は『落ちてた』って言ったが。
ひょっとして、全部仕組まれたことだった?
「知ってんのか?」
ハッとして声がした隣を見下ろせば、那智の不思議そうな顔が俺を見上げていた。
「こいつ昨日、現場にいた。俺の身分証を『落ちてた』とか言って渡してきた」
「間抜けだなぁ……」
呆れたように言われ、
「落としてねぇよ。いくらなんでも、落としたら気付く……はず」
即刻返しながらも、その時の記憶を必死に思い起こす。もやもやとした正体不明の違和感が湧く。
「だろうね。すられたんだろ? 誰かと……その辻岡と接触した覚えはねぇの?」
「外へ逃げようとする大群衆の波に逆らって歩いたから……何人もぶつかった。ぶつかったヤツの顔なんかいちいち見てねぇよ」
「間抜けだなぁ……」
もう一度、那智は同じ言葉を苦笑と共に零した。
確かに胸ポケットの中に仕舞ったはずの身分証、それをヤツが持っていた。辻岡は『落ちてた』って言ったが。
ひょっとして、全部仕組まれたことだった?
「知ってんのか?」
ハッとして声がした隣を見下ろせば、那智の不思議そうな顔が俺を見上げていた。
「こいつ昨日、現場にいた。俺の身分証を『落ちてた』とか言って渡してきた」
「間抜けだなぁ……」
呆れたように言われ、
「落としてねぇよ。いくらなんでも、落としたら気付く……はず」
即刻返しながらも、その時の記憶を必死に思い起こす。もやもやとした正体不明の違和感が湧く。
「だろうね。すられたんだろ? 誰かと……その辻岡と接触した覚えはねぇの?」
「外へ逃げようとする大群衆の波に逆らって歩いたから……何人もぶつかった。ぶつかったヤツの顔なんかいちいち見てねぇよ」
「間抜けだなぁ……」
もう一度、那智は同じ言葉を苦笑と共に零した。



