自宅に到着すると、那智は玄関を上がるなり奥の部屋へ足早に進む。そうしてパソコンの電源ボタンを押しながら、その目の前に腰掛けた。
「何か見つかるか?」
『何か』とは、真犯人を特定する決定的な何か。USBの中の情報から、それを見出せることをどうしても期待してしまう。
「さあね」
パソコンをじっと見詰め、それが立ち上がるのを待ちながら、那智はどうでも良さそうに返してきた。
那智がパソコンの脇にUSBを差し込み、右手に握るマウスを動かしながらカチカチやると、画面にファイル一覧が表示された。
「よし、まずは顔合わせといきますか。初めまして、辻岡昴先生」
言って、その中の一つをクリックした。
モニターの中に一枚の画像が映し出された。恐らくは、運転免許証の顔写真。
ドクッと心臓が跳ねた気がした。その顔に見覚えがあった。
『しがない痴漢でーす』
『落ちてたよ。大事なもんでしょ? 気を付けようよ、ね?』
『痴漢、良くない』
『ばぁーん』



