ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「これといった手掛かりは掴めてない」

真犯人が全く見えていない今、そう答えるしかなかった。下手に現状報告なんかしだしたら、長々と喋る羽目になる。

『だろうな』と、当たり前のように言われてちょっとムッとした。


「谷口さん、もしかして俺たちの不出来を嘲笑うために電話した?」

『そんな趣味ねぇよ。まぁそれも面白そうだけどな』

ふっと息を漏らして笑う野獣谷口。ぜんっぜん面白くねーから。


『あーそうそう、新たにわかったことがあるから教えてやろうと思ってな』

「何ですか?」

『ガイシャの胸に銃痕二つ。けど弾はピンセットか何かで抜き取られていた』

「証拠隠滅?」

『ああ、恐らく……。だけど司法解剖の結果、抜き取られたのは死後4、5時間してからだそうだ』

「その間、犯人は悦子の遺体と一緒に居た?」

『もしくは、証拠を消すために現場へ戻った』

「死亡推定時刻は?」

『2時から4時の間』

「やっぱりか。俺が痴漢呼ばわりされた時には、既に悦子は遺体だったわけだ」