ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「大事なことが抜けてる。俺たちは、『誰かのためにだったら』危険を顧みない。だろ?」

「いいこと言うねぇ、那智くん。少年よ、大志を描け」

「『抱け』だろ? さり気にスケールデカくなってねぇか?」

「気のせいだ」

「そうか、気のせいか」

投げ遣りな感じで言い放ち、那智はふっと笑みをこぼした。つられて俺の頬も緩む。


ああなんか、こいつと居ると気が楽だ。第一印象が最悪だったから、知れば知るほど印象は良くなる一方で、計算なのか無自覚なのかどっちか知んねぇけど狡いと思う。



俺たちは那智の自宅へ向かった。理沙から貰ったUSBの情報を見るために。

我が家はすぐ目と鼻の先にあるってのに。そして、我が家にも一応、パソコンはある。けど、俺ん家のパソコンは危険だと、那智は有無を言わさぬ強い口調で言い切った。


と、甲高い機械音が車内に響き渡った。ジーンズのバックポケットで振動する、音の発信源を素早く抜き出し耳にあてがえば、

『そっちはどうだ?』

電話の相手は名乗ることもせず、いきなり現状報告を求めた。