ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

良治は、友人の俺が言うのもなんだけど、男前だ。顔はそこそこだけど雰囲気がイケてると思う。

そんな良治が、理沙を『しつこく』口説かなきゃ落とせなかった理由を、今頃悟る。だから、『わかってたならどうして?』などと問い詰めることなんかできなかった。


コクコク小さく頷いて、理沙と良治を交互に見てから身を翻し、出口へと歩を進める。「じゃっ」と、二人に向かって敬礼して見せる那智が、視界の端に映り込んだ。



店を出たところで立ち止まり、上着のポケットから煙草を取り出した。

「歩き煙草は違法でっせ、旦那」

すかさず那智がおどけた口調で言う。


「だったらお前の車で吸わせろ」

隣に立つ那智の後頭部を、思いっ切り押さえつけてやった。その圧に逆らうことなく、俯いて少し前屈みになった那智。

「あんな密室で吸わせるかっ! 副流煙の餌食になるだろーが」

躍起になって言い返してきた。


「自身に及ぶ危険など顧みない、それが俺たちだろ?」

平然と言って、煙草を一本シレッと口に運ぶ。もちろん、点火はしないけどね。