ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「彼女が傍に居てくれるだけで充分だけど、できれば三人ぐらいは欲しいかな」

言って穏やかに笑んだ良治に、もう返す言葉なんかなかった。


「悪いけど、」

逃げるように視線を落として、渋々口を開く。

「今は事件のことだけ考えたい」

と続ければ、

「ああ、そうしろ」

柔らかい同調が返って来た。


なんとなく俺の意識は理沙へ向く。視線に気付いた彼女は、ひくっと微かに両肩を跳ねさせ、その瞳は不安げにこちらを見詰める。

「ごめん、理沙。何が『ごめん』かわかんねぇけど、とにかくごめん」

何に対しての謝罪か、本当はわかっていた。俺なんかに理沙の幸せを奪う権利、あるはずがない。


「別にいいわよ、謝らなくて」

やっぱり、いつもの理沙じゃない。けどそれは演技とか偽装とかでもなく。

女って、男ができるとこうも変わるのか、と。不思議に思いながらぼんやり理沙を眺めていた。


「皆人は反対するってわかってた」

理沙が心なしか申し訳なさそうに呟いた。