ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「どちらさまですか? 随分とセックスアピールの激しい方のようですがっ」

やけくそになって一方的に吐き捨て、那智行くぞ、と、ぼさっと突っ立っている那智の腕を引いた。


「待てよ、皆人。てめ、人を呼び付けといて、何だよその態度は」

「呼び付けてなんかねぇよ。理沙が勝手に……」

「ヤキモチとかやめてくれよ」

「はぁ?」

余りにも見当違いなことを口走る良治に、つい、振り返ってまじまじとその顔を見た。整った眉がハの字を描き、どこか寂しそうに俺を見ている良治。意味がわからない。


「なんで俺がヤキモチなんか焼くんだよ? 寧ろ、」

言って視線を、良治からその背後に身を隠すように立っている理沙へと滑らせた。

「誘惑しやがって」

激しい嫌悪を籠めて低く呟いた。


「誤解だ。俺がしつこく口説いた」

その言葉に愕然とし、再び良治に目を向けた。追い打ちをかけるように、理沙が弱々しく訴える。

「私が……平凡な幸せを望んじゃいけない?」