ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「おい、待てって、理沙!」

引き留めようと声を張り上げた俺に、

「知り合いか?」

那智が涼しい顔で尋ねる。顔は強張ってしまい、口を動かすことも声を発することすらできない俺は、那智に向かって小さく二回頷いて見せた。


「信用できるヤツなんだろ? だから彼女は名を明かした。何も問題ねぇだろ?」

「お前に何がわかるんだよ」

漸く言葉は口にできたけど、那智の言うことなんかほとんど頭に入ってこなかった。


俺の同期、そして唯一友と呼べる男――西山良治に無情にも降りかかった悲劇。不覚にもじわり、両目尻に雫が溜まった。


「昼間っから何騒いでんだよ、皆人」

奥からのっそりと顔を出した第三者。口調はいつも通りだが、その顔にはバツが悪そうな苦笑を浮かべている。

そう言うお前こそ、昼間っから艶めかしい行為に及ぼうとしていたことが一目瞭然の格好だ。ワイシャツのボタンは全開、ベルトもスラックスのボタンも外され、ファスナーも途中まで降りている。