ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「けど、極秘の依頼だってわかってたはずだろ」

チクリと指摘してやった。それは店の奥に潜んでいるだろう第三者に向けての苦情。動揺したように理沙の目線が宙を彷徨う。


「彼なら大丈夫よ」

「根拠は?」

「大丈夫だから、大丈夫」

「そんなんで安心できるかよ。言えよ。どこのどいつだ?」


俺に問い詰められ、理沙は目を伏せ、ふてくされたように軽く唇を突き出した。だけども堪忍したように、その口を尖らせたまま、第三者の名を口にした。

「良治(よしはる)」

「はっ?」

「だから、西山良治」

「えっ? マジか、嘘だろ?」

「あんたが言えって言ったんでしょ?」

「いや、そうだけど。いや、そんなの信じらんねぇし。冗談なんだろ?」

「冗談なんか言って何になるの? そんなに信じられないなら、ここに呼ぼうか?」

言って、俺の返事を待ちもせず、理沙は店の奥へと向かう。