「誰?」
携帯を元有った場所に戻す俺に、那智が尋ねる。
「理沙」
短く訊かれたから短く答えた。
「理沙?」
意外にも、那智は理沙と面識がないらしい。視線を俺からすっと逸らし、自身の記憶の中にその名を探しているような僅かな沈黙の後、
「誰それ?」
再び俺に向き尚って問う。
「ヤバいぐらいイイ女だ。惚れるなよ」
とんでもない嘘っぱちを言いつつ、那智の肩甲骨辺りをバシッと平手打ちしてやった。不意打ちを食らって上体が前方へ傾いた那智は、崩れた重心を支えようとして右足を一歩前へ踏み出した。
その拍子に俯いた横顔を、真っ直ぐな金色の髪が覆う。ゆっくりと顔を上げながらこちらを向いた那智。衝撃を与えた俺にムッとしたかと思えば、
「約束はできねぇな」
言って薄く微笑んだ。
俺の大嘘に、那智は期待満々のご様子。ほんの少しだけ罪悪感を抱くも、何この展開、おもしれぇ……と、無性に気持ちが昂った。こんなウキウキ感は、小学校の遠足前日以来だ。
携帯を元有った場所に戻す俺に、那智が尋ねる。
「理沙」
短く訊かれたから短く答えた。
「理沙?」
意外にも、那智は理沙と面識がないらしい。視線を俺からすっと逸らし、自身の記憶の中にその名を探しているような僅かな沈黙の後、
「誰それ?」
再び俺に向き尚って問う。
「ヤバいぐらいイイ女だ。惚れるなよ」
とんでもない嘘っぱちを言いつつ、那智の肩甲骨辺りをバシッと平手打ちしてやった。不意打ちを食らって上体が前方へ傾いた那智は、崩れた重心を支えようとして右足を一歩前へ踏み出した。
その拍子に俯いた横顔を、真っ直ぐな金色の髪が覆う。ゆっくりと顔を上げながらこちらを向いた那智。衝撃を与えた俺にムッとしたかと思えば、
「約束はできねぇな」
言って薄く微笑んだ。
俺の大嘘に、那智は期待満々のご様子。ほんの少しだけ罪悪感を抱くも、何この展開、おもしれぇ……と、無性に気持ちが昂った。こんなウキウキ感は、小学校の遠足前日以来だ。



