ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】

「半年前の事件に悦子が関わってたのはほぼ確定だな。だとすると、悦子は辻岡に殺された? 口封じのために?」

当然那智も勘付いてるだろうけど、敢えて言葉として口にしてみた。那智は涼しい顔で俺を見る。その余裕たっぷりな落ち着き払った様子に、またしても苛立った。


「二人は直前に揉めてる。そして直後には庇い合ってる。何故?」

教師が生徒に問題の答えを求めているような、そんな問い方だった。自分は答えを知ってるとでも言いたげな、自信たっぷりのドヤ顔。


「何故って……」

一応考える素振りをしてみるも、これといった答えは出て来ない。


「自己犠牲をも厭わない……真実の愛」

「お前、真面目な顔して何言っちゃってんだよ。ウケたわ、マジで」

思わず吹き出した俺に、那智は表情を少しも変えず、あんたにはわかんねぇよな、と言って呆れたような溜息を小さく吐いた。