どう見ても、みんなに優しそうだよなぁ…。


裏があるなんて、なんだか信じられない…。


眞田さんの言葉に困惑しながら、私は教室を出た。


でも…警戒って言っても、私の場合…水城君と話すことは、あまり無いと思うんだよね。


どうしても何か話さないといけない…っていう時以外は。


そんなことを考えながら、ゆっくりとした足取りで昇降口へと辿り着いた。


あっ…。


そう言えば、隣の席を女の子にしてくれたこと…水城君にお礼も言わずに教室を出て来ちゃった…。


だけど、女の子たちと楽しく会話していたし、あの状況を邪魔してまで、水城君に声を掛ける勇気は無いな…。


明日、言えそうな機会があったら…お礼を言おう。


消極的な目標を掲げながら、げた箱のところで靴を履いていた時だった。




「あ、小春川…。」