えっ…?


突然、名前を呼ばれて驚いた私。


顔を上げた瞬間、水城君の唇が重なった。


「み、水城君っ…」


「ごめん、美羽…ガチガチに緊張してたから、ちょっと不意打ちにキスしてみた…。」


不意打ち…。


確かに、そうだ。


だって……


「水城君、私のこと…“美羽”って…」


今まで、ずっと“小春川”だったから、初めて下の名前を呼ばれて、ビックリした。


俯いていた顔を、思わず上げてしまったぐらい。


「俺たち…今日から付き合うことになったし、そう呼びたいなと思ってさ。俺のことも“律矢”でいいから…。」


「うん、水城く……じゃなくて、りっ…律矢君。」


呼び慣れなくて、ぎこちなく口にする。


そんな私に、律矢君は満面の笑顔を見せてくれた。


「美羽に、名前…呼んでもらえて嬉しいよ。俺の彼女になってくれて、本当にありがとな。」


「ううん、私の方こそ…彼女にしてくれて、ありがとう…。」


律矢君に出会えたから、男の子に対する苦手意識の克服を頑張ろうと思えたし、恋っていう素敵な気持ちを知ることが出来た。


律矢君には色んな感謝でいっぱいだ。