「転校生だから大目に見てきたけど、最近…他の律矢君ファンの女の子たちも不満に思ってることだから、この際…ハッキリ言っておくね。」


固い声が廊下に響く。


「律矢君は、みんなの律矢君であって、誰のものでもないの。だから、小春川さんが独り占めするのはルール違反なわけ。」


「………。」


「律矢君は優しいから、転校生の小春川さんにも親しく接してくれてるんだろうけど、それを“特別”だって勘違いしないでよね。私たちからすれば、そういうの…いい迷惑だし。」


とげとげしい言葉に何も言えず、口を閉ざしていると、女の子は盛大に溜め息をついた。


「じゃあ、そういうことだから。今後は、馴れ馴れしく律矢君と接するのは止めてよね。」


そう言って、私の横を通り過ぎて行こうとした時、女の子はピタリと足を止める。


「悪いけど、律矢君に小春川さんは合わないよ。どう考えても不釣り合いだもん。」


ポツリと冷たく呟くと、他の女の子たちと一緒に帰って行ってしまった。