小春川 美羽、16歳。


高校1年の冬。


生まれて初めて、好きな人が出来ました…。


だけど…




「はぁ……」


「小春川さん、溜め息だなんて…どうしたの?」


水城君のことを“好き”だと自覚してから、数日が経った、朝の昇降口。


零した溜め息を、ちょうど登校してきた眞田さんに聞かれてしまったのだ。


「もしかして、律矢と何かあった?」


「えっ?」


「ほら、ここ数日ぐらい…律矢と小春川さん、殆ど喋ってないような気がするから。」


うっ…。


眞田さん、鋭い…。


「律矢のヤツ、小春川さんに変なこと言ったりしたとか?もしそうなら、遠慮なく私に言ってね!私が代わりにアイツをとっちめてやるから!」


「う、ううん…そうじゃないから大丈夫だよ。ありがとう…。」


心配してくれる眞田さんに笑顔を作った。