「お前っ、その反応……図星?」


驚きの声を出す兄貴。


おそらく、俺がこんな反応をするとは予想してなかったんだろう。


俺ですら、あからさまに動揺したことにビックリしているぐらいだ。


「…うるせぇな。」


ポツリと口にしたけれど、その場を紛らわせることなんて出来るわけがなくて…。


「マジかよ。女嫌いの律矢も、とうとう初恋デビューか!すげぇじゃん。」


兄貴のテンションは上昇する一方だ。


「勝手に盛り上がってんじゃねぇよ。」


「なあ、ずっと女嫌いで、女に一切の興味もなかったお前を落とした女の子って、どんな子?俺…是非とも会ってみたいんだけど。」


俺の主張は無視か。


っていうか、なんで“会いたい”とか…そういう話の流れになってるんだよ。


訳分からねぇ…。


「とにかく、この話は終わり。俺、学校で出された課題を済ませてから食べる。兄貴は先に食べてもらっていいから。」


「あっ、律矢!ちょっと待て!話は終わってねぇぞ!?」


呼び止める兄貴に取り合うことなく、俺は階段を駆け上がって、自分の部屋へと逃げ込んだ。