友達以上って…。


女と接するのがイヤな俺が恋愛感情なんか持てるのか…?


女なんて、いなければいいとすら思ってるのに…。


でも、小春川は…女だけど、そういう負の感情を抱くことはない、特別な存在。


さっきも、小春川に対して無意識に“特別”という言葉を口にしたぐらいだから、心からそう思っているのは確かだ。


ただ、それが…どういう意味での“特別”なのかが、よく分からなかった。


放課後、佳織に…好きになり始めてるんじゃないかっていうような指摘をされた時も、本当にそうなのか、アヤフヤで疑問だった。


でも、今…友達以上になりたいと素直に思ったんだから、俺は小春川のことを…



「あれ?律矢、家の前で何突っ立ってんの?」


突然、声を掛けられた俺はビックリして肩を上げる。


振り向くと、立っていたのは俺の兄貴だった。


「なんだ、兄貴か…。いきなり声掛けんなよ…。すげぇ驚いた。」


「お前が家にも入らずに、この寒い中…ボーッと突っ立ってるのが悪いんだろ?」


確かに、それもそうか。


っていうか、いつの間にか…家の前まで来てたんだな、俺。