「じゃ、明日が初めての合奏だから」

茉莉花先輩は、さらっと大変なことを言ってのけた。

「え!? 俺、無理ですよ」

「啓介くんはできるとこまででいいのよ。藍ちゃんが頑張ってくれると思うから。ね?」

茉莉花先輩は、輝くばかりの笑顔を桐谷先輩に向けた。

桐谷先輩は、居心地悪げに視線をそらした。

「うん、これで話はおしまい。練習に戻ってちょうだい」

茉莉花先輩の言葉で、桐谷先輩はさっと俺を振り返った。

その瞳に、俺の心臓は飛び上がった。

「相原」