ついに楽譜がもらえたのは、それから二週間経った頃だった。

茉莉花先輩が、桐谷先輩をつついて言ったのだ。

「ね、そろそろパート決めしないと、あと一ヶ月しかないわよ」

「相原はまだ……」

「いいから、とりあえず決めるだけ。わたしたちも練習できないでしょう」

「そうですね」

そして、茉莉花先輩は紙の束を持ってきた。

「曲は三曲ね。ちなみに、ソロがあるのも一曲あるわ」