桐谷先輩は、緑色の瞳を見開いたまま固まっている。

「吉永先輩、俺まだ全然吹けないんですよ。無理です」

吉永先輩は飄々と返す。

「名字じゃなく、茉莉花って呼んでくれると嬉しいな」

俺は思わず絶句した。

そんな俺に向かって、吉永……茉莉花先輩は続けた。

「まあ、藍ちゃんに教わるんだからだいじょ……」

突然、桐谷先輩が動いた。

「大丈夫じゃありません!!」