遠くから見ていた吉永先輩が、笑ってやって来た。

「あ、音出たんだ?」

「はい!」

吉永先輩は、桐谷先輩の右隣の机に腰かけた。

「ねえ、藍ちゃん」

桐谷先輩は、体ごと吉永先輩に向き直った。

「はい」

「定演に啓介くんも出すから、それまでに何とかして形にしてね」

桐谷先輩の顔色が変わった。