愛させろよ。

先輩は懐かしそうに言った。

「本番の日、私ぶっ倒れたのよね。それで、気づいたら相原にお姫さま抱っこされてた」

「もう、あの時はどうしようかと思ったんですよ」

先輩があまりにも儚げで。

このまま消えてしまうんじゃないかって気がして。

「私もびっくりしたわ。目を開けたら目の前に相原の顔があるんだもん」

今の先輩は、もう消えてしまいそうではない。

そのことが、俺を安心させた。