どれくらいの時間が過ぎただろうか。

俺はゆっくりと先輩を離した。

先輩はくるりと向きを変え、俺と向かい合うようにした。

「ねえ相原」

「はい」

「私の右目、見て……?」

俺はそろそろと手をのばし、先輩の顔を隠す髪に触れた。

先輩は小さくうなずいた。

俺はそのまま手を動かし、そのなめらかな髪をかきあげた。