控室に入ると、たくさんの部員たちが楽器を片づけていた。

桐谷先輩だけが、楽器を手にしたまま立ち尽くしていた。

「……先輩?」

先輩は俺を見上げて言った。

「ねえ相原……」

その目には涙がたまっていた。

「どうしてなの?」

「はい?」

先輩は突然、何かが切れたように泣き出した。

「ねえどうして、どうしてなのよ……」

部員たちの視線が集まった。