楽器ケースの置いてある控室に向かっていると、桐谷先輩が突然ぴたりと足を止めた。

「なんで……」

「桐谷先輩?」

先輩は答えず、固まっていた。

何があったんだ?

俺は先輩の視線の先を見た。

そこには、あの人がいた。



「蘭さん?」